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タジキスタンのあったか家族

2011.07.26

タジキスタン入国の日。
早朝4時に起きタシュケント(ウズベキスタン)のバスターミナルへ。国境に行きたいがあいにく直通のバスはなく、どうやったら行けるかあっちへ行きこっちへ行き、質問して回る。
タクシーに乗ってバスに乗って、さらにバスを乗り換え、乗り合いタクシーに乗り換え…
国境に着いて群がる人の中をずいずいと割り込んでセキュリティーチェック、申告、出国手続き。やっとウズベキスタン出国。
バックパックとカメラバックを体の前後に担いで炎天下タジキスタンに向けて歩く(歩くしか手段は無い)。

     

     
国境のゲートをくぐりタジキスタンの入国カードを記入し、再び汗をダラダラかきながら次の建物へ。
いっきに一つの建物で済ませてほしいものだ。。。
思い出すだけでげっそりする。国境越えは体力が要る。

そんなお疲れモードの私。
タジキスタン入国の最後の建物で、とある政府職員さんに出会いました。
さっき出勤して来ました風で私に所持金などの形式的な質問をしたかと思うと、国境から一番近い町フジャンドまでタクシーで行くから一緒に行こう、とのこと。
フジャンドまではタクシーでUS$13だよ。そうか、こやつ私に便乗するつもりだな。もしくはシェアか?
などと心の狭いことを考えていたらぜーんぶ出してくれた。

    

    
「お腹すいてる?朝食食べない?」
と、レストランに連れて行かれる。
シャシリクという羊肉の串焼き、スープ、サラダ、ずらりと並べられ、早朝からがっつりと食べる。これ総額いくらなんだとびびっていると、ここも全部出してくれた。

    

    
「これからうちに来ない?妻や子供たちがいる家に招待するよ」
かたことの英語で、辞書や会話帳を見ながら一生懸命話してくれた。
家族がいるということで安心して話に乗る。

政府職員さんの名前はザファー。31歳。
もしかしてお金持ちなのかもと思っていたけど、家は町外れの古いアパートで、決して大きくもなく、普通の暮らしのようだ。
家に着くと超美人の奥さんニゴーラ(26歳)と超かわいい子供たちが出迎えてくれた。
テーブルいっぱいに茶菓子を並べもてなしてくれる。

    

末っ子オイシャ

    

長女タマノ

ニゴーラもザファーと同じく英語がほんの少し話せる。その後分かったことだけど、タジキスタンでかたことでも英語がしゃべれる人はかなり珍しい。
彼女も一生懸命会話帳を見ながら話かけてくれた。

    

    
ニゴーラは次から次へと手料理を出してくれた。どれもめちゃくちゃ美味しい。
早起きだったため眠くなると、広い居間を私だけのために空けて寝かしてくれた。きっとその間自分たちは残りの狭い部屋に居たのだろう…

目が覚めるといつの間にか居間のテーブルにはアメリカンチェリー、いちじく、ピーチと、果物がずらりと並べられていた。
私が起きたことに気付いたニゴーラは温かいお茶を入れ直してくれる。
何という気の使いよう。

    

     
夕方、バザール(市)を見たいという私にニゴーラは付きっきりで案内してくれた。
すべてタクシーで。
私は何度も両替に行きたいと言ったのだけど、その必要は無いとザファーに断られていた。
「お客さんなんだからこの町で君がお金を使う必要はない」と。
ザファーから言われていたのか、ニゴーラもいっさい私にお金を使わせてくれない。
タジキスタンに入国したことだし地図が欲しいなと思っていたら、ニゴーラが買ってくれる。
「他に欲しいものは?」と聞かれ、これはまずいと「何もないよ」と答える。

温かいシャワー、食べきれない夕食、私にはソファにベットを作ってくれて自分たちは床に寝る。
こんなにされていいのか。
感動しながら一日を終える。

   
翌朝、フジャンドから首都ドゥシャンベへ移動の日。
朝から豪華な食事を作ってくれたニゴーラと泣く泣く別れる。
会話帳を見ながら
「また会えるのを楽しみにしています。またここに来てください」
そう言うと、笑顔で見送ってくれた。

ザファーに連れられタクシーで長距離バスターミナルへ。
ドゥシャンベ行きの車を探し助手席に私を乗せると
「ドライバーにはもうお金を払ってあるから、君は何も払わなくていいからね」
と一言。
まじで!?
ドゥシャンベまでは遠い。6時間以上はかかる。その運賃120ソモニ(約2,000円)をすでに隠れて払ってくれていたのだ。

後々聞いた話によるとタジキスタンの政府職員の月収は5,000円(ほんまかいな)。
タジキスタンは移動費が高いことで有名。
月収の半分弱のお金を払ってくれた?ザファーが高級取りだとしても120ソモニは相当大きな額のはず。
よく食事などをご馳走してくれる人はいるけど、次の町までの移動費を出してくれた人はいない。

     

     
ザファーは私が無事ドゥシャンベに着けるか、ドライバーに携帯番号を聞き、おおよその時間に連絡をくれた。
「問題は無い?大丈夫?」
電話での英語は苦手そうで、そんなに多くはしゃべらなかったけどその気持ちがうれしかった。

タジキスタン一日目でこんなにいい人たちに出会えて本当に幸せだった。
嫌な人にも何人か会ったけど、この家族のことを思うとタジキスタンはなんて素晴らしい所なんだろうと思える。

「無事日本に帰って来たよ」
って電話しようかな。