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カルシ・ゴチャック ~ティンモスガンへ~

2012.03.24

スクルブチャン・ゴチャックと同じチベット暦12月30日に、カルシの町からもゴチャックが出発しました。



スクルブチャンより人数が多く、初日で30人だそうです。
皆の動きが合った光景は迫力があります。



私がカルシ・ゴチャックに追いついたのは2日目。
ちょうど昼食時でした。
メンバーはカルシの村から食事を積んだ車が到着するのを、お祈りをしながら待っていました。



村人によって振舞われたのはチュタギと呼ばれる粉を練った、要はだんご汁ですが、以前紹介したテントゥクよりもごっつくてお腹一杯になります。
食事風景を見ていると、「あなたも食べなさい」と取り分けてくれました。
すでに昼食を食べていましたがそこはありがたく・・・
皆と同じものを食べるっていいものです。



昼食後、ゴチャック再開。
やはりスクルブチャンと同様、ここでも大声で歌を歌いながら行っていました。
今でも、写真を見たり思い出したりするだけで、あの歌声が響いてきます。



歌にはいくつかバリエーションがあり、カルシの場合4つの歌を交互に使っているそうです。
前回書いたように、五体投地(両肘・両膝・額を地面に投げ伏す礼拝方法)を108回して終わると休憩、歌を変えて新たに再開、といった感じです。



果たしてどうやって108回を数えているのか?疑問でした。
すると、サブリーダーに気になる動きが。
もしかして・・・



休憩の時サブリーダーに聞いてみると、やはりビンゴでした。
ラダックでもチベットでもほとんどの人がタンガと呼ばれる数珠を持っていますが、その数も108なのです。
回数を数えるのはサブリーダーの役目。
一回の五体投地を終えると数珠の玉を一個動かし、それを108回。タンガが一周すると休憩、というわけです。



そして新たな情報が。
サブリーダーいわく、108回+5回するというのです。
数え間違いがあった場合のためらしいですが、108ピッタリじゃなくてもいいんですね。
少ないよりはオーバーした方がマシ、といったところでしょうか。


108回+5回を見届けてお茶休憩に入りました。
皆リラックスしている様子でした。
何だかこそこそ笑い合ったり、私の写真を覗き込んだり。



お茶の後はお祈り。
服の中にしのばせていた経文を取り出し、皆で声をそろえて読み上げていました。



休憩時には車にお茶を積んで村人がやって来ます。
108回が終わるちょっと前に、丁度いい位置に車を停車しスタンバイしているのです。
ゴチャックをしている当人たちを含め、村人たちも108回にどのくらいの時間がかかり、どれだけ進むのかを把握しているようでした。

そこで、調べてみました。
108回にどのくらいの時間がかかるのか(エクストラ5回は省いて考えます)。
彼らは1回の五体投地をした後に4歩進みます。
この1セットにかかる時間は17秒。距離にして1.8mくらい。
ということは
108回=約30分=約200m
時速400m。
徒歩の時速が4~6kmと言いますから、五体投地で進むのはとんでもなく遅い事が分かります。


カルシの人々はこの五体投地を朝8時半~夕方6時半まで休憩を挟みながら繰り返し、7~8日間かけて18km先にあるティンモスガンに向かいます。

地図はコチラ



ティンモスガンの山頂付近のはゴンパ(お寺)があり、その回りをコルラ(右回りに巡礼)し、バターろうそくに灯明するそうです。
先回りでゴンパまで行って来ましたが、舗装されていない道や雪の積もった登坂もあります。
本当に8日で着くのか?と思ってしまうほど長い道のりでした。




カルシの村まで戻り一泊、翌日再び彼らに会いに行きました。
この日は二人の子供も加わっていました。
スクルブチャン同様、過ぎる村々でどんどん人数が増えていくようです。



大人たちの動きに合わすように気を使いながら、小さな声で歌を歌い、真剣にお祈りをしていました。
ごつごつした地面が痛々しい。



彼らに会うのも2日目なので、だいぶ親しみが湧いていました。
きっとあちらもそう思ってくれているはず。
目が合う度に優しい笑顔を向けてくれました。

そして、何度見ても釘付けになるゴチャックの風景。



「あなたもやってみれば?」
という声をかけられ、どのようなものなのかを知るためにも参加させてもらいました。
列の最後尾で皆の動きに合わせて。
コツは何度も見ているので分かっていました。どういう動きがキレがあってかっこいいかも。
参加出来たことがうれしかったですが、動きがきついのはもちろん、全然前に進まないので気が遠くなりました。
信じるものがないと到底続けられません。



ゴチャックを出来る人は幸せ者だ。と村人から聞いていました。
実際にこの苦しい道のりを乗り越える当人たちはどんな気持ちなのか。
彼らから出た言葉は

「願いが叶ってうれしい」

この一言。
五体投地で聖なる場所へ向かうことは、チベット仏教徒にとって最も尊く、重要な行いであることを再認識しました。