巨大なイヌワシを、まるで体の一部のように操り、獲物を狩る。
一族に伝わる文化を守るため、2019年の秋、6歳を迎えた少年が、荒野へ馬を出した。
どこか気さくなその男は、村人にとってはよき隣人であり、妻にとっては、よき夫である。
そんな彼にとって、この鋭鋒に囲まれた小さな村は、人生のすべてと言ってもよいかもしれない。
崖の上の僧院を寄り辺に、乾いた大地を耕す人々がいる。 いつも以上に短い夏が、ようやくやってきた。
中東の山岳地帯でたどり着いた、幻のような集落。
人々は、長きにわたりなにを守ろうとしてきたのだろうか。
標高5,000mの難所。 次元の違う大自然の中で、人はあまりに小さな存在だ。
それでも、死が身近な分、生はひときわ鮮烈だった。